昨夜の夢は

小中学校で同級生だったYS(シンちゃん、と呼んでいた)。彼が入院しているという病院を訪ねる夢。病棟、病室探し。とうとうそれができずに自転車を押しての帰り、どこか他の場所から仕事でこの町を訪ねてきたらしいオジサンに道を尋ねられての会話。自分はこの町の住人ではない。そちらの「口」には行かない。そして自転車を押して反対側の「口」をめざす。
そのうち目の前に開けてきた風景。狭い間口の二階建ての家。かつて私の下宿だったその家は、しかし現実には誰の下宿でもない建物。それが私にわかっているのだが、夢ではそうなっている。大学の時の友人であるYNとIS、それにもう一人すっきりした印象の男が立っていて、建物が打ち壊されようとしているのを見守っている。どうやらわざわざそれを見届けるために来たようだ。
YSの病院は見つかったのだが、別の病棟だといわれて、病室を探し回るが見つからない。市役所の窓口のような受付や、いろんな看護師に尋ねたあげく、ついに見つからず。寒いところでもないのに、部屋の中に靄がかかっていて、はっきり見通せない場所もあった。ただただ白くて、諦めて病院を出た。
迷路のような町のなかで、トラックのおじさんに最寄りの駅までの道を尋ねられ、自分はそちらの「口」は利用しない、と答えて、それとは別の「口」の方に向かい、坂だったからか、うつむき加減に自転車を押している顔をふと上げてみると、なぜか目の前にそれとわかる建物があって、それが以前住んでいた「昔の下宿」だった。
これから壊されるということもわかっていて、YNたちの姿が見える。私はそこに行こうとしているのか、すっきりした男がやはり大学の時の友人KSなのか、それとも私自身なのか、よくわからない。建物の周りは、もう更地になっていて、その建物だけが最後に残っている。といっても、その建物のほんの周囲のことであって、その周囲の周囲はというと、ごく普通に建物が密集して建っているのである。