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本を発注しまくっている。そのせいかチョンボも増えた。たとえば、『福翁百話』が欲しいのに、その現代語訳なんかを注文してしまったり。妻は眼科医院かどこかになくしてきた『方丈記私記』を私に買って返そうとして、それは持っているからね、と念を押した方の『定家明月記私抄』を注文してしまったようだが、それをせせら笑ったバチが当たったのだ。何かにつけて妻に似てきた。


そういえば、このあいだ県の総体で優勝した学生を連れて、部活の延長というか、市が主催する全国大会に向けての壮行会というか激励会というものに参加したのだが、参列者一同の前に一緒に出て、となりにいるその学生を紹介する時である。慣れないことはするものじゃない。それまでの教員たちを見習って、気をつけ、礼、というのをやるつもりで、起立!と大声で叫んでしまって、あわてて、あ、起立はいらないか、と自分で小声でつっこんだというか、つぶやいてみたが、もちろん後の祭り。


しかしとなりの学生もさすがスポーツマン、前に居並ぶ生徒さんたちも鍛えられたアスリートたちばかりで、全然、ゲラゲラとはならないのである。なあんにも聞こえなかったかのように、真面目な顔で済ましている。しかし番茶も出花、箸が転げてもおかしい年頃の女の子たちの数人は、さすがに我慢できないらしく、肩を小刻みにふるわせて必死に堪えている。それが何ともおかしくて、自分でも笑ってしまいそうになったが、そこはぐっと耐えて、気をつけ!からやり直した。


学生のよいところ、今後に期待するところなどをちょっと小難しく述べて、応援よろしくと結んで、話は何とかごまかせたとは思うのだが、うーん、困った。困ったのも本当だが、帰りに何度も思いだして、笑えた(幸せになれた)のも本当だ。もちろんこれは天然でなく、ただの痴呆なのだが。