怖い夢

だった。といっても、内容ではない。夢を見ていた時の私自身の振る舞いである。わたしは妻と娘を乗せたバスを運転し、故郷近くの名所旧跡を案内していた。同僚の運転する車とすれ違ったりしていたのだが、例によって急に場面が変わってヤクザっぽい連中に取り巻かれている。イチャモンをつけられて、いよいよ襲いかかってくるその直前に、わたしは自分から攻撃を仕掛けた。身体を左に回しながら、ちょうど前蹴りのような格好で右足を思い切り大きく前に突き出した。腹にタオルケットを掛けているだけだったので、パジャマの脚は呆気なく空を蹴って、その瞬間に目が覚めたのだったが、左隣の布団に妻が寝ていることを思いだして、ヒヤリハット、の寝苦しい9月1日前夜だったのである。そのとき妻は、いつもそうするように私の鼾を止めるために、無意識的に私の身体をつついていたのだろうか。それが夢の正体かも知れないのだが。