前から気に

なっていたのだが、寝る前にビタミンCを飲む。その成分が異なるとどうも夢を見やすくなる。商品を変えると覿面なのでそう思ってしまうのだ。昨夜のはまだ覚えている。
何でも小さな谷のような狭い河原のようなところを高台に向けて独りで歩き続けている。水はどこにも見えない。歩いているのは山道ではなく細い街路だろう。棚田のように段々になった小さくて平らな土地が次々に現れる。道はときどき階段になり、上へ上へと続いていく。その段々になった土地はみな整備され、小さな公園のようになっている。そこには彫刻のモニュメントや文字を刻んだ石碑のようなものもある。それらをどんどん通り越していく。石碑の一つ一つに刻まれた文字は、今はもう思い出せない。夢の中ではいちいち見えていたし、読んでいた気がする。
ついにそれ以上はない一番上まで登りきったところで急に視界が開けた。海が見えた。前方にも後方にも海がある。そこに来て初めて知った事実であった。相当に高いところまで登って来たようだ。すぐ先は崖だろうか。足下、眼下に、地面の裂け目のようなものがあり、そこからほぼ真下に青く澄んだ水と海底が見えている。今まで歩いてきた方向をふり返ってみると、遙か先の海までが見渡せた。ほとんど見下ろしているような角度に見えた。高く遠く風が吹いていた。涼しいような寂しいような夢の光景であった。