『ムーンライズ・キングダム』

観てきました。@MOVIXココエあまがさき。


この映画、感想を一言でいうと、わーい! である。事前にそれほど期待してなかった(失礼!)分、これは儲けたなという感じ。久しぶりに冒険に憧れていたピュアな中学生だった頃の気分に戻れました。いわゆる「変人」としてカテゴライズされた少年と少女が主人公だけど、間違いなく大人のための映画ですね。60年代のアメリカ。ニューイングランド地方の島(ニュープレザンス島)という設定もいい。


エピソードは寓意に満ちていて、誰でもその人なりに、これはそうかあのことだなと思い当たることがいっぱいあると思う。この映画でもやはり diversity は擁護されていて、最近はスルっと当たり前のように多様性とだけ訳されることが多くて、相違(点)の部分が見過ごされがちだけど、この相違(不同)をどう(同一化してしまうのでなく)認めるかが、真に問われるところ。


その点、12歳のサムとスージーの恋愛と結婚は、もちろん未熟で微笑ましいものだけれども、同時に、それでも本当に勇気のいる、文字通り人生を賭けた一大事でもあって、むしろ私たち大人が学ぶべきところ大なのです。とぼけた役どころのブルース・ウィルスエドワード・ノートンにもきっちりバッチリの見せ場があり、ビル・マーレイは例によってちょっとアレなひとを好演しています。


お互いが self-made person であることを前提としながらも、コミュニティーというものに民主でかつ共和な「未来」があり得ると信じられた時代。これを「最後の時代」にしたくはないですね。ヘンリー・デイヴィッド・ソローの『コッド岬』を読み返したくなりました。

http://moonrisekingdom.jp/index.html