『アルゴ』

@シネピピア売布。観て来ました。噂に違わぬハラハラドキドキの映画。手に汗を握るとか、固唾を呑んで見守るなどの常套句があるけど、まさにそれ。美術もすごい。よくあの1980年前後の時代を(建物・自動車・電化製品・衣服・メガネ・髪型その他あらゆる物品・小物まで)再現してるなあ。


個人的には『Good Will Hunting』(1997)が今も印象に残っている主演のベン・アフレックは、監督も兼ねてるけど、シーンとシーンのつなぎとかも本格的で、ほんとよくやってる(そうか、短編を入れると、これで監督5作目なのか。道理で)。


史実に基づいているようだが、実際の映画人たち(彼らは政府に協力する民間人ということになるが)が配役されていて、彼らがカギを握る存在として脇に、しかしきっちり置かれているのも上手い。最後のほうで、彼らがいうマルクスに関するギャグがあって、(これは映画好きには、もうほとんど常套句的なものだけど、それでも)やっぱり笑ってしまった。


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しかし先日ベネズエラチャベス大統領が亡くなったこともあって、余計にそう思うのだが(もちろん、僕はCIAによる暗殺説・陰謀説は信じていないが)、映画以前に政治的には、今のこの時期にアメリカの過去の(それだけを見ると人道的に見えるCIAによる人質救出作戦)成功を手放しでは喜べない。


歴史的に犯し続けてきたアメリカ(や西欧諸国)の中東やアフリカ諸国に対する(自国の国益しか考えない、むしろ当地の民主化を阻害する政策・策略的支援などの)国家的犯罪については、いずれ近い将来にきちんと裁かれるべき。第二次大戦時の日本に対する原爆投下は言うに及ばず。


それにしても国民統合の象徴として天皇を位置づけ、そういう形に変えたとはいえ日本に天皇制を残したという選択が、日本に民主主義を根付かせないことに貢献した?と評価しているのかどうか、そこんとこ、アメリカ自身の評価を知りたいな。自国の国益になったと考えているかどうか。